文献調査

MeSH termsとは?PubMedの検索もれを減らす医学用語の仕組み

MeSH(医学件名標目表)は、米国国立医学図書館が作る医学用語の統一辞書です。同じ病気の別々の呼び方を 1 つの見出し語にまとめるので、言い換えによる検索もれが消えます。3 つの部品、PubMedでの引き方、検索式の書き方、そしてMeSHでは拾えないものをご紹介します。

この記事は AI を使って下書きし、公開前に人が内容を確認しています。

MeSH terms(メッシュ、Medical Subject Headings)は、著者がどの言葉で書いたかに関係なく、内容で論文を引くための統一見出し語です。米国国立医学図書館(NLM)が作り、PubMedが索引する論文に付与しています。日本語では「医学件名標目表」と呼ばれます。同じ概念の言い換えを 1 つの見出し語にまとめるため、検索語の違いによる取りこぼしを減らせます。

なぜ言葉を統一する必要があるのか

同じ病気でも、著者によって書き方が違います。heart attack、myocardial infarction、MI。キーワード検索が探すのは書かれた文字列なので、heart attackで引けばmyocardial infarctionと書いた論文は落ちます。しかも落ちたことは画面に出ません。検索結果が 1,200 件出れば、十分に探せたと感じてしまいます。

MeSHでは、探す側の検索語を増やすのではなく、論文の側にラベルを貼ることでこの問題に対応します。本文でどの語が使われていても、心筋梗塞を扱った論文にはMyocardial Infarctionという見出し語が付きます。この 1 語で引けば、著者の語彙に関係なく、関連する論文が揃います。

3 つの部品

部品 何をするもの
主標目(Descriptor) 「何についての論文か」を表す見出し語 Myocardial Infarction
副標目(Subheading) 主標目に付けて観点を絞る語 Myocardial Infarction/drug therapy(薬物療法の話に限る)
階層(ツリー) 主標目を広い語から狭い語へ木の形に並べたもの Neoplasmsの下にLung Neoplasms

3 つ目が特に重要です。上位の語で引くと、その下にぶら下がる狭い語も一緒に集まります。Neoplasms(腫瘍)で引けば、肺がんも乳がんも、さらにその下位の語も含めて 1 回で揃うということです。下位の語を自分で数え上げる必要はありません。

このほかに、まだ主標目になっていない物質名や新しい病名を受け止める補足概念レコード(Supplementary Concept Records)があります。MeSH全体は年 1 回改訂されます。

PubMedでの引き方

  1. PubMedの上部メニューからMeSH Databaseを開きます(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/mesh/)。
  2. 普段使っている言葉で検索します。heart attackと入れても、正式な主標目であるMyocardial Infarctionに案内されます。
  3. その語の定義・階層・副標目の一覧が出ます。観点を絞りたいなら副標目にチェックを入れます。
  4. Add to search builderを押してからSearch PubMed

出来上がる検索式は"Myocardial Infarction"[Mesh]の形です。慣れれば検索窓に直接書いても同じです。

絞り込みが 2 つあります。Restrict to MeSH Major Topicにチェックを入れると[majr]になり、その論文の主題になっている場合だけに絞られます。ついでに触れているだけの論文が除かれるので、件数が多すぎるときに役立ちます。もう 1 つは階層を広げない指定で、下位の語まで含めたくないときに使います。

検索式を書くときにいちばん多い失敗

PubMedは、タグを付けずに語を入れると、自動でMeSHへの読み替えを試みます(Automatic Term Mapping)。ここに注意が必要です。引用符で囲む、フィールドタグを付ける、末尾に*を付ける。このどれかを行うと、その読み替えが止まります

つまり"heart attack"と引用符付きで書くと、MeSHは一切参照されず、その文字列が実際に書かれている論文しか出てきません。精密に書いたつもりで、かえって検索できる範囲が狭くなってしまいます。

実務では、MeSHと語の両方をORでつなぎます。

("Myocardial Infarction"[Mesh] OR "heart attack"[tiab] OR "myocardial infarction"[tiab])

[tiab]は表題と抄録を対象にする指定です。この形なら、MeSHが付いた論文と、まだ付いていない新しい論文の両方を拾えます。

MeSHでは拾えないもの

1 つ目は、索引が付く前の論文です。MeSHは、論文がPubMedに入ってから付けられます。付く前の論文はMeSHで引いても出てきません。ここは 2022 年 4 月に大きく変わりました。NLMは同月にMEDLINEの索引付けを自動化し、いまは「PubMedに載ってから 24 時間以内」を目標にしています。人手だけで行っていた 2021 年度の平均は 145 日でしたから、待ち時間は大幅に短縮されました。それでも、載った直後の論文とMEDLINEの対象外の雑誌には付きません。

2 つ目は、医学・生命科学以外の分野です。MeSHはこの分野のための辞書なので、工学や社会科学の論文には使えません。分野ごとに別の統制語彙があり、たとえば教育学ならERICのThesaurusが同じ位置にあります。

だから、方法欄に書くような検索式ではMeSHとキーワードを必ず併用します。MeSHだけだと新しい論文が落ち、キーワードだけだと言い換えが落ちます。

PubMedの外もまとめて探す方法

MeSHを使えるのはPubMedの中だけです。同じテーマでも、プレプリントや国際会議の論文、機関リポジトリにある学位論文は別の場所にあります。

Litlasは、そちらをまとめて検索できるサービスです。PubMedを含む 16 の学術ソース(OpenAlex・Crossref・DataCite・OpenCitations・ROR/ORCID・arXiv・DBLP・OpenReview・ACL Anthology・PubMed・PMC Open Access・DOAJ・CORE・OpenAIRE Graph・Unpaywall・Common Crawl)を 1 回の検索で横断し、掲載誌や会議・著者・出版年で絞り込み、被引用数で並べ替えられます。気になった論文からは引用グラフを開いて、その論文が何を引用し、その後誰に引用されたかをたどれます。自分のメモとタグを付けてライブラリに保存でき、BibTeX・RIS・CSL-JSONで書き出せるので、そのまま原稿へ持っていけます。

MeSHのようなフィールド単位の精密な指定はPubMedが得意で、分野をまたいだ横断はLitlasが得意です。MeSHで漏れなく引いた結果を、Litlasのライブラリに集めて整えるのが、最も無駄のない進め方です。無料プランはカード登録なしで今すぐ使えます。

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覚えておくべき 3 つのこと

  1. MeSHは、著者の言い換えによる検索もれを消すための見出し語です。同義語をいくつ思いついて並べるよりも、MeSHの 1 語で引くほうが確実です。
  2. 引用符とフィールドタグとワイルドカードは、MeSHへの自動の読み替えを止めます。狭くしたつもりで、かえって取りこぼすことがあります。
  3. 検索式にはMeSHとキーワードを両方書きます。新しい論文はまだMeSHが付いていません。

参考文献