Litlas の論文がどこから来ているか、そして何を収録していないか
Litlas の索引を支える書誌データソース、収録規模、更新の頻度、分かっている欠落、そしてそれらを読者自身が確かめる方法を掲載しています。
Litlas はウェブを巡回していません。索引に入っている論文はすべて、名前の分かる書誌データソースから来ていて、検索結果の 1 件 1 件が「どのソース由来か」を示す slug を持っています。このページでは、そのソースの一覧、収録の規模、更新の頻度、そして —— Litlas を人に薦めるかどうかを判断するうえで最も重要な —— 収録していないものを書きます。
2026-08-21 に稼働中の API に対して実測した値です。いま配信されているリリースのビルド日は 2026-08-11 です。
図書館のリサーチガイドに Litlas を載せるかどうかを検討中でしょうか。学生が使い始めるのに何が要るか、費用はいくらか、そしてガイドにそのまま貼れる紹介文は、別のページにまとめてあります。
論文の出どころ
backend が宣言しているコネクタは 16 本で、overview エンドポイントが「sources」として返すのもこの数です。ただしこの数の読み方には注意が要ります —— これはソースコード上のリストの長さであって、索引を測った値ではありません。稼働中の索引に対して実測すると、実際に論文を持っているのは 10 本、そのうち規模と呼べる量を担っているのは 2 本だけです。
OpenAlex
openalex
論文メタデータと正規識別子
索引内の論文数: 集計上限を超過
DBLP
dblp
計算機科学の書誌
索引内の論文数: 集計上限を超過
ACL Anthology
acl_anthology
会議録
索引内の論文数: 1,000 件
Crossref
crossref
論文メタデータと正規識別子
索引内の論文数: 992 件
OpenAIRE Graph
openaire_graph
オープンアクセスの所在と集約
索引内の論文数: 764 件
arXiv
arxiv
プレプリント
索引内の論文数: 178 件
PubMed
pubmed
生物医学文献
索引内の論文数: 100 件
PMC Open Access Subset
pmc_open_access
生物医学文献
索引内の論文数: 100 件
DataCite
datacite
論文メタデータと正規識別子
索引内の論文数: 60 件
Common Crawl
common_crawl
ウェブ規模の URL 発見
索引内の論文数: 1 件
OpenCitations
opencitations
引用エッジ(補完のみ)
索引内の論文数: 0 件
ROR / ORCID
ror_orcid
著者・機関の識別子(補完のみ)
索引内の論文数: 0 件
OpenReview
openreview
会議録
索引内の論文数: 0 件
DOAJ
doaj
オープンアクセスの所在と集約
索引内の論文数: 0 件
CORE
core
オープンアクセスの所在と集約
索引内の論文数: 0 件
Unpaywall
unpaywall
オープンアクセスの所在と集約
索引内の論文数: 0 件
「集計上限を超過」は、検索 API が 50,000 件で数えるのをやめるため、外から正確な件数を出せないという意味です。**そのソースを網羅しているという意味ではありません。**小さい数字が入っている行はその数が正確な実測値で、いずれも corpus ではなく標本です —— 1 回のリビルドあたり 1,000 件が上限のコネクタは、そのデータベースの複製ではなく、ひと匙です。
「補完のみ」と付いている行は、設計どおりに動いています。これらは別のソース由来の論文に対して識別子・引用エッジ・オープンアクセスのリンクを足す役目なので、自分自身の論文を持ちません。それ以外の 0 件の行は、宣言はされているものの、いま配信されているリリースには何も寄与していないコネクタです。
上の表に出てこないが使っているソースが 1 つあります。Semantic Scholar は、被引用数の底上げと引用エッジの追加のために別経路で参照しています。corpus には 1 件も足さないので、絞り込みに使える slug もありません。
規模
19,379,997
収録論文
413,996,658
引用リンク
どちらの数字も同じ 1 回のリビルドの成果物から採っているので、同じ corpus について語っています。論文数はライブの値で、API がリクエストごとに返します。引用リンク数はどのエンドポイントも公開していません —— いま配信されているリリースを作ったビルドが記録したエッジ数なので、ライブではなく日付つきで示しています。
トップページでは引用リンク数を 390,000,000 に切り下げて表示しています。これは意図的で、丸めた値が実測値を超えないことをテストで固定しているため、広告側の数字が実測を上回ることは起こりません。
更新の頻度
更新スケジュールは公開していません。存在しないからです。索引の更新は取り込みパイプラインの全体を回し直すこと(差分更新の経路はありません)で行い、その実行はスケジューラではなく人が手で開始しています。フルリビルドの所要時間は 1 日程度です。
利用する側にとっての実際的な帰結はこうです。上のビルド日より後に出版された論文や、それ以降に付いた被引用は索引に入っていません。被引用数も「今日時点」ではなくビルド日時点の値です。その週のうちの網羅性が要る用途には、このツールは向きません。
Litlas が収録していないもの
他人のツールを評価する立場なら最初に読みたい節なので、意図的に率直に書きます。以下はどれも自分たちのコードを指し示せる制限であって、言葉を濁すための但し書きではありません。
検索は要旨を読まない。全文も持っていない
全文検索が照合するのはタイトル・著者名・DOI・会議誌名だけです。要旨は結果として表示されますが検索対象ではなく、全文はシステムのどこにも保存も索引もされていません。本文にしか出てこない語句で、その論文に辿り着くことはできません。
計算機科学と生物医学の外は、被引用数で足切りされている
計算機科学と生物医学分野の論文は被引用 10 件から採用しています。それ以外の分野は、索引に入る時点で被引用 200 件を超えている必要があります。したがって、この 2 分野の外にある新しい研究・専門性の高い研究・被引用の少ない研究は、大部分が存在しません。順位が低いのではなく、そもそも取り込まれていません。
表に並ぶソースの大半は、複製ではなく標本
規模のある 2 本を除くと、各コネクタは 1 回のリビルドあたりおよそ 1,000 件が上限で、固定の検索語を起点に取得しています。上の表に PubMed があることは、Litlas が PubMed を網羅しているという意味ではありません —— 数十から数百件の PubMed 由来レコードが在る、という意味です。あの行は出所の表示であって、到達範囲の表示ではありません。
日本語文献の専用ソースが無い
CiNii・J-STAGE をはじめとする日本語の書誌データベースのコネクタはありません。日本語の論文は、OpenAlex や Crossref といった国際的なソースが既に収録している場合にだけ現れます。そのため収録は、英語で出版・索引された研究に偏っています。
被引用数は Scopus や Web of Science と比較できない
表示している被引用数は、OpenAlex が報告する値・この corpus の中で引用している論文の数・外部アサーション由来の下限値、この 3 つの最大値です。2 番目の項は索引に入っている論文しか見られない以上、これらの数値は書誌計量の測定値ではなく、そのように使うべきものでもありません。
結果の合計件数は上限で頭打ちになる
検索 API は 50,000 件で一致件数を数えるのをやめます。合計件数にこの数が出ているときは「ちょうどこの数」ではなく「これ以上」を意味します。corpus の統計値として読まないでください。
自分で確かめる方法
ここまでの内容は、こちらを信用して受け取る必要のあるものではありません。以下のエンドポイントは公開されていてログイン無しで答えるので、このページの表は数分で再現できます。
結果ごとの出所を見る
検索 API が返すオブジェクトはすべて、由来するデータベース名を示す source_slug フィールドを持っています。
GET /api/v1/search?query=attention — 各 result の source_slug
宣言されているコネクタを一覧する
sources エンドポイントは、backend が宣言しているコネクタを slug・役割・説明つきで返します。その件数が、上で触れた 16 という数です。
GET /api/v1/sources
ライブの収録規模を読む
overview エンドポイントは、現在の収録論文数を検索索引から直接返します。
GET /api/v1/overview
任意のソースの論文数を数える
検索を source slug で絞り込み、検索語を空にすると、そのソースの合計件数が返ります。上の収録数の列はこの方法で実測しました。応答には、合計が集計上限に達したかどうかも入っています。
GET /api/v1/search?query=&source_slug=dblp&limit=1 — total と total_capped
このページの数字のうち 1 つだけ、この方法では確かめられません。引用リンク数はどのエンドポイントも返していないので、ビルドの記録から引用するしかありません。
