文献調査

PRISMAフローチャートの書き方:3 段に何件を書くか

PRISMAは、システマティックレビューの結果をどう報告するかを定めたガイドラインです。27 項目のチェックリスト、抄録チェックリスト、フローチャートの 3 つでできています。フローチャートの 3 段に書く件数、記録と報告と研究の区別、2009 年版からの変更点、拡張版の選び方をご紹介します。

この記事は AI を使って下書きし、公開前に人が内容を確認しています。

PRISMA(プリズマ、Preferred Reporting Items for Systematic reviews and Meta-Analyses)は、システマティックレビュー(決めた手順どおりに文献を網羅して集め、評価するレビュー)とメタアナリシス(複数の研究の結果を統計的に統合する手法)をどう報告するかを定めたガイドラインです。日本語では「PRISMA声明」と呼ばれます。

一言でいえば、レビューのやり方を決めるものではなく、やったことの書き方を決めるものです。最新版はPRISMA 2020 で、2021 年にBMJ誌で公表されました。

なぜ報告の書式を決める必要があるのか

システマティックレビューの値打ちは、結論よりも手順にあります。どこを検索し、何件が出てきて、何件をどの理由で除いたのか。それが書いてあれば、読者は同じ手順をたどって確かめられます。書いていなければ、読者にできるのは結論を信じるかどうかの判断だけです。

PRISMAは、この「たどれる形で書く」ために報告すべき項目を並べたものです。 2009 年の初版は、その前身にあたる 1996 年のQUOROM声明(ランダム化比較試験のメタアナリシスの報告に焦点を当てたもの)を引き継いで作られました。

PRISMA 2020 の 3 つの部品

部品 何をするもの
チェックリスト 本文で報告すべき 27 項目。7 つの章立てに分かれ、項目によっては細分された副項目を持ちます
抄録チェックリスト 抄録で報告すべき 12 項目
フローチャート 検索から採用までの件数を 1 枚の図で示すもの

このほかに、各項目で何をどこまで書くのかを説明した拡張チェックリストがあります。本文のチェックリストと同じ 27 項目に、報告の例と根拠が付いた形です。

フローチャートの 3 段に書く件数

フローチャートは 3 段で、上から特定・スクリーニング・採用の順に並びます。各段に入れるのは、次の件数です。

1 段目の特定では、探した場所ごとの件数を書きます。データベースと研究登録(実施予定・実施中の研究を登録した公開データベース)から特定した記録の数と、Webサイト・組織・引用検索など他の方法から特定した記録の数を分けて書きます。ここでスクリーニングの前に除いた記録も書きます。重複した記録、自動化ツールが不適格と判定した記録、他の理由で除いた記録の 3 つに分けます。

2 段目のスクリーニングでは、絞り込みの過程を書きます。スクリーニングした記録の数、除外した記録の数、本文を取得しようとした報告の数、取得できなかった報告の数、適格性を評価した報告の数、そして除外した報告の数です。最後の 1 つには、除外の理由ごとの内訳を添えます。理由を書かずに合計だけを書くと、読者は「何を読み落としたのか」を判定できません。

3 段目の採用では、レビューに採用した研究の数と、その研究に対応する報告の数を書きます。

記録・報告・研究は別々に数える

3 段を通していちばん間違えやすいのが、この 3 つの語の区別です。

数える対象
記録(record) 検索でヒットした 1 件。同じ論文が別のデータベースから 2 回出れば 2 件です
報告(report) 研究について書かれた文書 1 件。雑誌論文だけでなく、プレプリント・学会抄録・研究登録エントリー・臨床研究報告・博士論文・未発表の原稿・政府報告も含みます
研究(study) 研究そのもの 1 件。1 つの研究が複数の報告を持つことがあります

区別が必要な理由は、1 つの研究が複数の報告を持ち、1 つの報告が複数の記録としてヒットするからです。採用した研究が 12 件でも、その 12 件を記述している報告は 18 件かもしれません。両方を書くのはそのためです。

テンプレートは 4 通りあります。新規のレビューか更新のレビューか、そして検索先がデータベースと研究登録だけか、他の方法も含むかの組み合わせです。自分のレビューに当てはまるものを選んでください。テンプレートの灰色のボックスは、該当する場合だけ記入します。該当しないなら、そのボックスは図から削除します。

2009 年版から変わったこと

PRISMA 2020 が置き換えたのはPRISMA 2009 です。11 年のあいだに、研究を特定し、選択し、評価し、統合する方法が変わったことを反映しています。

  • チェックリストの各項目が書き直され、報告の例と根拠を付けた拡張チェックリストが加わりました。
  • 抄録チェックリストが、2013 年のPRISMA for Abstractsから 2020 年版に合わせて改訂されました。
  • フローチャートが、新規のレビューと更新のレビューの両方に対応する形になりました。

項目数は 27 のままですが、中身は同じではありません。2009 年版のチェックリストをそのまま使い回さないでください。

拡張版の選び方

PRISMA 2020 は介入研究のレビューを想定して作られています。それ以外を報告するときは、拡張版が用意されています。公式サイトには 17 の拡張版が並んでいます。よく使われるのは次の 4 つです。

拡張版 使う場面
PRISMA-P レビューを始める前のプロトコール(実施計画)を報告するとき
PRISMA-ScR スコーピングレビュー(主題の全体像を把握するためのレビュー)を報告するとき
PRISMA-S 検索の手順そのものを詳しく報告するとき
PRISMA for Abstracts 抄録だけを報告するとき

このほかに、診断精度・ネットワークメタアナリシス・個々の参加者データ・健康の公平性など、主題ごとの拡張版があります。自分のレビューが本体だけで足りるのかを、書き始める前に公式サイトで確認してください。

文献を集める段をまとめて済ませる方法

フローチャートの 1 段目が求めるのは、探した場所と、そこで見つかった件数の記録です。分野によっては、PubMedだけでは足りません。プレプリントサーバー、国際会議の論文、機関リポジトリにある学位論文まで見に行くことになります。探す場所が増えるほど、 1 段目に書く行も増えます。

Litlasは、その探す作業をまとめられるサービスです。16 の学術ソース(OpenAlex・Crossref・DataCite・OpenCitations・ROR/ORCID・arXiv・DBLP・OpenReview・ACL Anthology・PubMed・PMC Open Access・DOAJ・CORE・OpenAIRE Graph・Unpaywall・Common Crawl)を 1 回の検索で横断し、掲載誌や会議・著者・出版年で絞り込めます。見つけた論文は、自分のメモとタグを付けたままレビュー用のボードへ保存でき、BibTeX・RIS・CSL-JSONで書き出せます。引用グラフを開けば、その論文が何を引用し、その後誰に引用されたかをたどれるので、検索語だけでは出てこなかった文献も拾えます。

無料プランはカード登録なしで今すぐ使えます。

いますぐLitlasを試す

スクリーニングの記録とフローチャートの作図は、その工程に特化したツールと組み合わせてください。Litlasが受け持つのはその手前、つまり文献を探して 1 か所に集めるところです。

覚えておくべき 3 つのこと

  1. PRISMAは報告のガイドラインです。レビューの手順を決めるものでも、質を採点するものでもありません。
  2. フローチャートでは、記録・報告・研究を別々に数えます。1 つの研究が複数の報告を持つので、採用した研究の数と報告の数は一致しません。
  3. 除外した報告には、理由ごとの内訳を添えます。合計だけでは、読者が過程をたどれません。

参考文献