文献調査

h-indexとは:自分で数える手順と、値に出所が必要な理由

h-indexは、被引用数の多い順に並べた論文の一覧があれば、1 分ほどで自分で数えられる指標です。ただし、その値は数えたデータベースに属します。同じ研究者がいくつもの値を同時に持つことになるため、数字だけを書いても確かめられません。定義と数え方、値が割れる理由、そして分からないことをご紹介します。

この記事は AI を使って下書きし、公開前に人が内容を確認しています。

h-index(h指数)は、誰かが付ける点数ではありません。数を数えた結果です。その研究者の論文が被引用数の多い順に並んでいれば、1 分ほどで自分で数えられます。

読み違えやすいのは、何の集合を数えているのかという点です。数えている対象は、 1 つのデータベースが持っている「どの論文が存在し、誰がそれを引用したか」という記録です。そして、その記録はデータベースごとに違います。したがって、研究者が持つh-indexは 1 つではありません。調べた場所の数だけ存在します。出所の書かれていない数字は、誰にも確かめられません。

h-indexが数えているもの

Hirschは 2005 年にこの指標を提案しました。定義はゆっくり読む価値があります。

ある科学者のNp本の論文のうち、h本がそれぞれ少なくともh回引用されており、残りの(Np − h)本の被引用数がh回以下であるとき、その科学者の指標はhである。

Google Scholarは、刊行物についてこれをより平易に言い換えています。h-indexとは、少なくともh本の論文がそれぞれ少なくともh回引用されているような、最大のhのことです。同社が挙げている例は、5 本の論文がそれぞれ 17・9・6・3・2 回引用されている刊行物で、このときのh-indexは 3 です。

定義と照らしてください。3 本の論文(17・9・6)が、それぞれ 3 回以上引用されています。 4 本目が数に入るには 4 回以上の被引用が必要ですが、4 本目は 3 回です。ゆえに、数えるのは 3 で止まります。

指標の良し悪しを論じる前に、計算の形そのものから 2 つの性質が出てきます。

  • h-indexは論文数を超えられません。論文が 6 本しかない研究者のh-indexは、その 6 本がどれほど引用されても 6 を超えません。
  • h-indexは下がりません。被引用数は積み上がる一方なので、値も一方向にしか動きません。

自分で数える手順

必要なものは 1 つだけです。その研究者の論文と、それぞれの被引用数を、多い順に並べた一覧です。あとは上から順に見ていきます。

並べ替えた被引用数が 41・22・9・7・5・3・1 だとします。行に上から番号を振り、その行の番号と被引用数を比べてください。

順位 被引用数 被引用数は順位以上か
1 41 はい
2 22 はい
3 9 はい
4 7 はい
5 5 はい
6 3 いいえ

「はい」が続く最後の行が答えです。この例では 5 行目なので、h-indexは 5 です。最初に「いいえ」が出た時点で読むのをやめて構いません。それより下の行が答えを変えることはありません。

同じ研究者が複数のh-indexを持つ理由

ここが、数字だけでは役に立たない理由です。

値は、数えた対象の論文集合だけで決まります。そして、同じ集合を持つデータベースは 2 つとありません。Martín-Martínらは 252 の主題分野について被引用の網羅率を比べ、Google Scholarがどの分野でも 93%から 96%の被引用を見つけたのに対し、Scopusは 35%から 77%、Web of Scienceは 27%から 73%であったと報告しています。見つからなかった被引用は均等に散らばっているわけではありません。1 件欠けるだけで行が境界を下回り、値が 1 つ減ることがあります。

その仕組みは、各社自身が説明しています。Clarivateは、Web of Scienceの研究者プロファイルに出る集計指標が、その著者のCore Collection収録論文への被引用だけから導かれると述べています。つまり、Web of Scienceが別のデータベースで索引している論文の被引用は、プロファイルの合計に入りません。Elsevierは、Scopusが 1970 年まで遡って 1996 年より前の引用文献を追加している最中だと説明し、その結果として「h-indexは時間の経過とともに増える可能性があります」と明記しています。同じ著者の同じ論文でも、来年には大きい値になるということです。

2 社を比べなくても、この現象は確認できます。Google Scholarは、同じ人物について 2 つのh-indexを同じ画面に出しています。同社の説明では「h-index・i10-index・総被引用数という 3 つの指標について、AllとRecentの 2 種類を計算しています」となっています。どちらもその研究者のh-indexであり、値は異なります。

したがって、役に立つ書き方は「彼女のh-indexは 34」ではありません。「彼女のh-indexは、◯◯における◯年◯月時点で 34」です。この形なら、読んだ人が自分で確かめられます。

h-indexから分からない 4 つのこと

覚えておく価値のある限界が 4 つあります。どれも、この数字を捨てる理由ではありません。そのうち 3 つは、Hirschの原論文が自分で書いています。

キャリアの長さが上限になります。h-indexは論文数を超えられないため、研究を始めて 4 年の優れた研究者は、30 年目の平均的な研究者のh-indexに構造上届きません。Hirschはこの点をすぐに指摘し、最初の論文からの年数で割ることを提案しました。これがmという指標です。Hirschはこれを、時間に対するhの傾きであり、経験年数の異なる科学者を比べるための尺度になる、と述べています。年数は「最初に発表した論文から現在までに経過した時間」から求め、mが 1 程度なら成功した科学者、2 程度なら卓越した科学者の目安になる、というのがHirschの示した基準です。

分野によって意味が変わります。Hirschはこれを予想したうえで理由を挙げています。分野ごとの典型的なh-indexは「その分野の論文 1 本あたりの平均参考文献数、その分野の科学者 1 人あたりの平均論文数、そして分野の規模(科学者の人数)」によって違ってきます。 4 つ目の軸として、引用されるまでの速さもあります。この点は当ブログで 26 分野を実際に測りました。論文が引用されるまでの年数は分野によって 2.7 倍違います。つまり、同じキャリア段階の同じh-indexでも、数学と細胞生物学では同じ達成ではありません。この点を断らずに分野をまたいで比べることが、最もよくある誤用です。

大規模な共同研究に有利に働きます。Hirschの言葉では、「共著者の多い論文によって高いhを得た科学者は、そのhによって過大に評価されることになる」となります。大人数で研究する分野のh-indexが大きくなるのは、この理由だけでも起こります。

個々の論文については何も述べません。この指標は、上位から外れた部分の違いを意図的に無視します。分野を決定づけた 1 本と、誰にも読まれなかった 1 本が、値に与える影響は同じです。その影響はたいていゼロです。Hirschも、並外れた被引用数を持つ重要な論文を数本持つ著者については「h-indexがその科学者の業績を十分に反映しない」と書いています。

要約はHirsch自身の言葉がいちばん的確です。「1 つの数値が、個人の多面的な姿のおおまかな近似以上のものを与えることは決してない。個人を評価するにあたっては、他の多くの要素を合わせて考慮するべきである。」

契約なしで、並べ替えた一覧を手に入れる方法

ここまでの手順は、すべて同じ入力を必要とします。その研究者の論文と、それぞれの被引用数を、多い順に並べたものです。この部分を手で用意するのが面倒です。論文が複数のデータベースに分かれていますし、整った一覧は機関契約の内側にあることが少なくありません。

Litlasは、索引に入っている研究者について著者ページを公開しています。アカウントなしで読めます。そのページには、その研究者の論文が 1 本ずつ被引用数つきで並び、被引用数の多い順に並べ替えられます。並べ替えれば、上の表と同じ順序がそのまま得られるので、あとは上から行をたどるだけです。同じページに掲載誌や会議と出版年も出るため、その一覧が国際会議の論文まで含んでいるのか、雑誌論文だけなのかも確認できます。

論文そのものは、16 の学術ソース(OpenAlex・Crossref・DataCite・OpenCitations・ROR/ORCID・arXiv・DBLP・OpenReview・ACL Anthology・PubMed・PMC Open Access・DOAJ・CORE・OpenAIRE Graph・Unpaywall・Common Crawl)を 1 回の検索で横断して集めたものです。論文の引用グラフを開けば、その論文が何を引用し、その後どの論文に引用されたかをたどれます。残した論文はボードへ入れて自分のメモとタグを付けられ、BibTeX・RIS・CSL-JSONで書き出せます。

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正式な評価の場面では、所属機関が採用しているデータベースを使ってください。比べられる全員が同じ場所で数えられている必要があるためです。

覚えておくべき 3 つのこと

  1. h-indexとは、h本の論文がそれぞれh回以上引用されているような最大のhです。被引用数の多い順に並べ、上から見ていき、被引用数が順位を下回った行の手前で止めてください。
  2. 数字の隣には、必ずデータベース名と日付を書いてください。Google Scholarだけでも、同じ研究者について 2 つの値が出ています。
  3. h-indexは論文数を超えられないため、影響力と同じくらい経験年数を測っています。Hirschのmという指標は、その点を補うために提案されました。

参考文献