英語の論文が読み終わらない原因は、たいてい英語力ではありません。先頭から順に、全部を同じ密度で読もうとしていることです。論文はそういう読まれ方を想定して書かれていません。読む順番を変えるだけで、 1 本にかかる時間が大きく減ります。
論文の構成を先に知る
多くの分野の論文は、次の順で並んでいます。
| 節 | 書いてあること | 最初に読むか |
|---|---|---|
| Abstract | 全体の要約 | 読む |
| Introduction | 背景と、この研究が何を埋めるか | 読む |
| Methods | どうやって調べたか | あとで |
| Results | 何が出たか | 図表だけ見る |
| Discussion | 結果をどう解釈するか | 読む |
| Conclusion | 結論 | 読む |
Methodsは、その研究を再現するために書かれた節です。あなたが再現しないなら、最初は飛ばしてかまいません。ここで詰まって読むのをやめてしまう人が最も多い節でもあります。
読む順番
次の順で読むと、途中でやめても得るものが残ります。
- 題名とAbstract。ここで、この論文が自分に必要かを決めます。必要でなければ、この時点でやめます。
- 図表とその説明文。論文の主張は図表に出ています。本文より先に見ると、このあと読む文章が何を説明しているかが分かった状態で読めます。
- Introductionの最後の段落。「本研究では〜を行った」という文がここにあります。論文の主張が 1 文で書かれている場所です。
- DiscussionとConclusion。結果の解釈と限界が書かれています。
- 必要ならMethodsとResultsの本文。
1 から 4 までで、その論文が何を主張しているかは分かります。5 に進むのは、自分の研究で同じ方法を使うときか、結果の妥当性を確かめたいときだけです。
辞書を引く回数を減らす
1 段落に 10 回辞書を引いていると読み終わりません。次の 2 つで減らせます。
分からない語を全部引かない。段落を最後まで読んでから、その段落の意味がつかめなかったときだけ引きます。多くの場合、知らない語が 2 つあっても段落の意味は分かります。
専門語を先に 20 個覚える。その分野の論文には、同じ専門語が繰り返し出てきます。最初の 1 本で引いた専門語を書き出しておくと、2 本目からは引く回数が半分以下になります。一般的な英単語より、専門語を覚えるほうが効きます。
翻訳ツールとの付き合い方
機械翻訳は使ってかまいません。ただし、使いどころがあります。
向いていること:段落の意味を素早くつかむこと。Abstractをまとめて訳して、その論文を読むかどうか決めることには十分使えます。
向いていないこと:専門語の訳。分野ごとに定訳がある語を、一般的な訳語にしてしまうことがあります。訳文で意味が通らない箇所は、原文の専門語を確かめてください。
気をつけること:訳文だけを読んで理解した気になると、原文が言っていないことを読み取ってしまう場合があります。結論に関わる文は、原文で確かめる習慣をつけてください。
1 本目でつまずかないために
最初に読む 1 本は、総説(レビュー論文)を選んでください。総説はその分野の研究をまとめた論文で、次の理由から読みやすくなっています。
- 前提知識を本文の中で説明してくれます。
- 実験の詳細が少なく、Methodsで詰まりません。
- 参考文献リストが、次に読むべき論文の一覧になっています。
いきなり最新の原著論文から入ると、前提知識が省略されているため何度も止まります。総説を 1 本読んでから原著論文へ進むと、同じ論文がずっと読みやすくなります。
読んだ内容を残す
読み終えたら、次の 3 つだけ書き留めてください。長い要約は要りません。
- この論文が主張していること(1 文)
- その根拠になっている図表の番号
- 自分の研究とどう関係するか(1 文)
この 3 つがあれば、数か月後に読み返さずに済みます。逆に、これを書かずに読み進めると、10 本読んだころには最初の 1 本の内容を思い出せなくなります。
論文を保存する場所とメモを書く場所が別だと、書き留める手間が増えます。Litlasでは、論文を保存してそのままメモを書けます。引用のつながりから次に読む論文へ進めるので、総説から原著論文へたどる流れがそのまま画面の中でできます。無料プランはカード登録なしで今すぐ使えます。
より詳しい読み方
3 段階に分けて読む方法を3 回読む方法にまとめました。読む論文を選ぶところは卒論の先行研究の探し方が参考になります。
