論文を読んでまとめる作業には、2 つの段階があります。1 本ずつまとめる段階と、まとめたものを横に並べる段階です。この 2 つを混ぜると、どちらも中途半端になります。この記事では順に説明します。
1 本ずつまとめる
1 本の論文につき、次の 6 項目を書きます。これ以上は書かないでください。
| 項目 | 書くこと | 分量 |
|---|---|---|
| 書誌情報 | 著者、出版年、掲載誌 | 1 行 |
| 問い | この研究が答えようとした問い | 1 文 |
| 方法 | 何を対象に、どう調べたか | 1 文から 2 文 |
| 結果 | 何が分かったか | 1 文から 2 文 |
| 限界 | 著者自身が挙げている限界 | 1 文 |
| 自分との関係 | 自分の研究にどう関わるか | 1 文 |
長い要約を書かないでください。論文の内容を丁寧に書き写すと、あとで読み返すときに元の論文と同じだけ時間がかかります。それなら元の論文を読み直すほうが正確です。まとめの目的は、読み返さずに済ませることです。
最後の「自分との関係」が最も重要です。ここを書かずに残したまとめは、半年後に見ても使い道が分かりません。賛成なのか反対なのか、手法を借りるのか、比較対象にするのかを書いてください。
横に並べる
10 本ほどたまったら、表にします。行が論文、列が観点です。
観点は自分の研究に合わせて選びます。よく使われるのは次の 5 つです。
- 対象(誰を、何を調べたか)
- 期間(いつのデータか)
- 手法(どう調べたか)
- 主な結果
- 結論の向き(賛成、反対、条件つき)
この表を作ると、分野の中で意見が割れている箇所が見えます。同じ問いに対して結論が違う論文が並んだら、その差がどこから来ているかを考えます。対象が違うのか、期間が違うのか、手法が違うのかです。
その差の説明が、そのまま卒論の「先行研究」の節になります。論文を 1 本ずつ紹介していく書き方より、この形のほうが読み手に伝わります。
表から本文へ
表ができたら、次の順で文章にします。
- 共通していることを書く。「多くの研究は〜を報告しています」。
- 割れているところを書く。「一方で〜という報告もあります」。
- 割れている理由を書く。「この違いは、対象とした年代が異なることに由来する可能性があります」。
- 埋まっていない箇所を書く。「いずれの研究も〜は扱っていません」。
- 自分の研究の位置を書く。「本研究は〜を対象にすることで、この点を扱います」。
4 と 5 が、自分の研究の必要性を示す部分です。1 から 3 は、そこへ行くための準備です。1 から 3 だけで終わっているまとめは、指導教員から必ず指摘されます。
やりがちな 3 つの失敗
論文の順に並べる。読んだ順や出版年順に 1 本ずつ紹介していく書き方です。読み手には、それぞれの論文の関係が分かりません。観点ごとにまとめてください。
全部の論文を同じ分量で扱う。自分の研究に近い論文は厚く、遠い論文は 1 行で触れる形にします。分量が主張の強さを表します。
限界を書かない。どの論文にも限界があり、著者自身が書いています。そこを拾うと、自分の研究の必要性を示す材料になります。
残す場所
まとめを紙のノートに書くと、あとから並べ替えられません。表計算ソフトか、論文と紐づいた形で残せる場所を使ってください。
Litlasでは、保存した論文にメモを付けられます。論文と自分のまとめが同じ場所にあるので、あとから読み返すときに元の論文へすぐ戻れます。引用のつながりから関連する論文へ進めるので、表に並べる 10 本を集めるところから同じ画面で進められます。無料プランはカード登録なしで今すぐ使えます。
